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ウソ・インチキに魅せられながらこじんまりと続くこのページも、もう連載(こういう場合は連載ではないような)36回を数えた。まだまだ世の中というか自分の周りには、すばらしいウソやインチキが転がっているので、きっといつまでも続いて行くんだろうなあ。
僕のまわりにあるものはすべて壊れていく、というようなことを前に書いたのだが、そのなかでも一番かわいそうなのはゼムクリップである。割り箸やスナック菓子の袋などは壊してもどうせ捨てるものなので心は痛まないのだが、ゼムクリップは再利用できるものである。
しかし、僕はゼムクリップを見つけると、どうしてもまっすぐにしたくなってしまうのだ。結構まっすぐにするのは至難の業なので、いいひまつぶしになるのだが、一度まっすぐになったゼムクリップは、もう二度と元に戻すことはできない。これが金属の可塑性というやつか。
ゼムクリップは結局、ただの針金になってしまい、フロッピーの強制排出やキーボードの間のホコリ取りには使えるかもしれないが、本来の使い方は失われてしまっている。いや、逆に、ゼムクリップを元に戻すことができたなら、一種の達成感のようなものがあるはずなので、それを求めているのかもしれない。
この「もとにもどらなさ」は割れたガラスや破いたカレンダーよりも哀愁漂う姿なので「かわいそう」ということでした。
おわり。(1999/6/9)
Grand Circus / hiroyuki shoji 1997-1999 : <shoji@sh.comminet.or.jp>